第41条【国家元首としての大統領、任務、大統領職の空位時における副大統領による代行】、第42条【大統領選挙、任期、多選制限】、第43条【大統領及び副大統領の選挙】、第44条【大統領及び副大統領の被選挙権】、第45条【大統領及び副大統領の選挙手続】、第46条【削除】、第47条【削除】、第48条【選挙法、元大統領及び元副大統領の年金】、第49条【選挙の公正に関する異議申立て】、第50条【死亡、辞任又は確定的な障害による大統領職の空位】、第51条【大統領の兼任及び兼職の禁止】、第52条【大統領及び政府閣僚の禁止行為、資産の宣誓申告書の提出】、第53条【大統領の宣誓】、第54条【大統領の職務、政府閣僚の任命、兼任及び兼職の禁止、大臣の副署、国民議会による副大統領の解任】、第54-1条【副大統領の任務、最高宰相、兼任及び兼職の禁止】、第55条【大臣会議】、第56条【大統領が任命する役職者】、第57条【大統領による法律の発議、公布、再審議の要求、公布期間経過後の施行手続】
第3編【行政権】
第41条(新)共和国大統領は国家元首である。国民から選出される者であり、国民統合を体現する。
国家の独立、領域保全並びに憲法、国際条約及び協定の尊重を保障する。
共和国副大統領は、この憲法の第50条に定める条件の下で、共和国大統領職の空位時にこれを代行する。
第42条(新)
共和国大統領は、直接普通選挙によって選出され、任期は5年とし、1度限り更新することができる。
いかなる場合も、何人も生涯に2期を超えて共和国大統領職を務めることはできない。
第43条(新)
共和国大統領は、共和国副大統領とともに選出される。共和国大統領及び副大統領の選挙は、2回の投票における多数決によって行われる。
第44条(新)
何人も、以下の要件を満たさなければ、共和国大統領又は副大統領の候補者となることができない。:
・出生によるベナン国籍を有するか、又は10年以上前にベナン国籍を取得していること。
・高潔で非常に誠実であること。
・市民的及び政治的な権利を全て享受していること。
・就任日に40歳以上70歳以下であること。
・共和国大統領に2回選出され、これを2期務めたことがないこと。
・立候補の届出時にベナン共和国に滞在していること。
・身体的及び精神的に完全な健康状態を享受し、憲法裁判所が指名する3人の医師団が宣誓し、これを正式に証明すること。
・法律の定める条件及び方式に従い、議員団によって正式に後援されていること。
第45条(新)
共和国大統領及び副大統領は、投票総数の絶対多数決によって選出される。最初の投票でこれを獲得できなかった場合、2回目の投票を行う。
最初の投票における最多得票の2組の候補者が、2回目の投票に参加する。
候補者が辞退した場合、最初の投票における次順位の候補者が参加する。
共和国大統領の候補者の辞退、障害又は死亡が立候補の届出後に発生した場合、これを無効とする。
共和国副大統領の候補者の辞退、障害又は死亡が立候補の届出後に発生した場合、共和国大統領の候補者は、可能であれば、後援に関する規定を除いて、憲法第44条に定める条件に従ってその後任者を擁立するものとする。
2回目の投票における最多得票の候補者が、共和国大統領及び副大統領の当選者として宣言される。
候補者の辞退、障害又は死亡の結果、2回目の投票で単独当選となった候補者は、共和国大統領及び副大統領の当選者として宣言される。
上記の第5項の条件によって単独で当選した共和国大統領は、宣誓後48時間以内に、後援に関する規定を除いて、憲法第44条の規定に従い、国民議会事務局と協議した上で、共和国副大統領を任命する。
第46条【削除】
第47条【削除】
第48条(新)
法律により、共和国大統領及び副大統領の被選挙権、立候補の届出、投票の実施、開票及び選挙結果の公示の条件について定めるものとする。
法律により、共和国大統領及び副大統領の市民名簿を作成し、元大統領及び元副大統領に給付される年金を決定するものとする。
ただし、この憲法の公布後は、憲法に従って選出された共和国大統領及び副大統領のみが、前項に規定する給付金を受け取ることができる。
第49条(新)
憲法裁判所は、投票が適正に行われることを保障し、その結果を認定する。
共和国大統領及び副大統領の当選は、暫定的に宣言される。
暫定的な宣言から5日以内に、選挙プロセスの公正に関する異議が候補者から憲法裁判所登録局に申し立てられなかった場合、憲法裁判所は、共和国大統領及び副大統領の当選を確定的に宣言する。
異議申立てが提起された場合、同裁判所は暫定的な宣言から10日以内に判決を下すものとする。その判決により、選挙の確定的な宣言又は無効を決定する。
5日以内に異議申立てが提起されることなく、選挙が不正行為によって無効となることはないと憲法裁判所が判断した場合、同裁判所は共和国大統領及び副大統領の当選を宣言する。
無効となった場合、判決から14日以内に新たな投票を行うものとする。
第50条(新)
死亡、辞任又は確定的な障害によって共和国大統領職に空位が生じた場合、国民議会は、その議員の絶対多数決によって議決を行う。国民議会議長はこれを憲法裁判所に付託し、同裁判所は共和国大統領職の空位を認定及び宣言する。共和国大統領職は、残りの任期中、共和国副大統領が執行する。直ちに憲法第53条に定める宣誓を行うものとする。
宣誓後48時間以内に、国民議会事務局と協議した上で、後援に関する規定を除いて、第44条の規定に従い、共和国副大統領を任命する。
新たな共和国副大統領が任命される前に、選出された副大統領の死亡、辞任又は確定的な障害が生じた場合、国民議会議長は、これを憲法裁判所に付託し、同裁判所は、その死亡、辞任又は確定的な障害並びに共和国副大統領職及び大統領職の空位を認定する。共和国大統領職は国民議会議長が執行し、これが新大統領を選任する。
第45条第5項に基づき、単独で選出された共和国大統領が、共和国副大統領の任命前に死亡、辞任し、又はこれに確定的な障害が生じた場合も同様とする。
第51条 共和国大統領職は、その他の公選の役職、文官又は武官の公務員及びその他の職業活動の遂行と両立しない。
第52条(新)
共和国大統領及び政府の閣僚は、その任期中、法律の定める条件の下で、憲法裁判所の事前の許可なく、自ら又は仲介者を通して、国有財産を購入又は賃借することはできない。
就任及び退任する際に、その全ての財産及び資産について、会計検査院長に対して宣誓申告書を提出しなければならない。
国に属する又はその管理下にある行政機関及びその他の機関に対する供給契約又は入札に参加することはできない。
第53条(新)
共和国大統領は、就任に先立ち、以下の宣誓を行うものとする。:
「神、祖先たちの魂、国家及び唯一の主権者であるベナン国民の前において、
私・・・・・・、共和国大統領は、共和国の法律に従って選出され、ここに厳粛に誓います。:
・ベナン国民が自由に授与した憲法を尊重及び擁護します。
・国民から信託された崇高な職務を忠実に遂行します。
・一般の利益及び人権の尊重のみを指針とし、共通善、平和及び国民統合の追求及び推進に全力を尽くします。
・国家の領域の完全性を守護します。
・誠実かつ忠実な国民の奉仕者として、あらゆる場所で行動します。
この誓いに背いた場合、私は法による裁きに服します。」
この宣誓は、憲法裁判所長官により、国民議会、最高裁判所及び会計検査院の前で執り行われる。
第54条(新)
共和国大統領は行政権を保有する。政府の長として、国の政策を決定及び実施する。規制権を行使する。
行政並びに国防軍及び公安部隊を統轄する。
組織法により、行政の組織、運営及び管理の原則について定めるものとする。
憲法第97条の規定にかかわりなく、行政に関する議案、その修正案又は組織法案は、共和国大統領の同意がない限り、国民議会に提出し、審議及び採決することができない。
国防の責任を負う。
国民議会事務局と協議した上で、政府の閣僚を任命する。その権限を決定し、これを罷免する。
政府の閣僚は、これに対して責任を負う。
政府閣僚の職務は、議会議員、文官又は武官の公務員及び職業活動の遂行と両立しない。
第60条及び第115条に規定する以外の共和国大統領の行為には、その執行を担当する大臣が副署する。
共和国大統領は、その権限を共和国副大統領に委任することはできない。
国民議会は、共和国副大統領に重大な違反があった場合、共和国大統領の付託により、これを解任することができる。
共和国大統領による国民議会への付託は、後援に関する規定を除いて、第44条の規定に従って推薦される新しい共和国副大統領の氏名を提示しなければならない。
共和国副大統領の解任及び後任者の任命は、国民議会の単独投票において、その議員の3分の2以上の賛成によって行うものとする。
第54-1条(新)
共和国副大統領は政府閣僚ではない。共和国大統領の要求により、国内外において共和国大統領を代理する。
国の序列上の最高宰相である。
共和国副大統領職は、その他の公選の役職、文官又は武官の公務員及びその他の職業活動の遂行と両立しない。
第55条 共和国大統領は、大臣会議を主宰する。
大臣会議は、以下の事項を審議する。:
・国の一般政策の決定。
・法案
・規制に関する命令及び政令。
第56条(新)
共和国大統領は、憲法裁判所の7人の裁判官のうち3人を任命する。
国民議会議長と協議した上で、大臣会議において、以下の者を任命する。:最高裁判所長官、会計検査院長及びメディア最高機関長官である。
また、大臣会議において、以下の者を任命する。:最高裁判所裁判官、会計検査院検査官、大使、特使、その他の裁判官、将官及び上級将校並びに組織法の定める名簿上の上級公務員である。
第57条 共和国大統領は、国民議会の議員とともに法律の発議権を有する。
国民議会議長から送付されてから15日以内に法律を公布させる。
国民議会が緊急を要すると宣言した場合、この期間は5日に短縮される。
この期間が経過する前に、国民議会に対して、法律又はその条文の一部について再審議を要求することができる。この再審議を拒否することはできない。
国民議会が会期末の場合、この再審議は次の通常会期中に自動的に行われる。
この再審議の議決は、国民議会の議員の絶対多数決によって行うものとする。この最後の投票後に、共和国大統領が法律の公布を拒否した場合、国民議会議長の付託を受けた憲法裁判所は、法律が憲法に適合している限り、その施行を宣言する。
本条第2項に規定する15日の公布期間の経過後に、公布又は再審議の要求がなされなかった場合、同様の施行手続によるものとする。
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