第64条【国家元首、任務】、第65条【任期】、第66条【被選挙権】、第67条【選挙】、第68条【選挙人団の招集】、第69条【選挙期日】、第70条【候補者の死亡、確定的な障害及び辞退の場合】、第71条【選挙法】、第72条【選挙結果の宣言及び公示】、第73条【憲法裁判所が選挙を無効とした場合】、第74条【就任前に選出された大統領が死亡し、又はこれに確定的な障害が生じた場合】、第75条【選挙運動の費用及び経費の償還】、第76条【任期の開始及び終了】、第77条【就任宣誓】、第78条【空位が生じた場合】
第4編【行政権】
第1章【大統領】
第64条 共和国大統領は国家元首である。国家の独立、領域保全、国民統合並びに憲法並びに国際条約及び協定の尊重を保障する。国の外交及び防衛政策を決定する。
共和国大統領は、公権力の正常な運営及び国家の存続を保障する。
第65条 共和国大統領の任期は5年とし、2度更新することができる。
共和国大統領は任期満了まで在任する。その任期満了は、憲法裁判所が認定及び宣言する不可抗力の場合を除いて、選出された後任者が有効に就任する時である。
第66条 何人も、以下の要件を満たさなければ、共和国大統領職に立候補することはできない。:
・出身によるコンゴ国籍を有すること。
・市民的及び政治的な権利を享受していること。
・善良な人格者であること。
・8年以上の職業経験を有すること。
・30歳以上であること。
・憲法裁判所によって任命された3人の宣誓した医師団により、身体的及び精神的に良好であることを正式に認定されること。
第67条 共和国大統領は、直接普通選挙により、投票総数の絶対多数決によって選出される。最初の投票で過半数を獲得する者がいなかった場合、憲法裁判所による結果公示の21日後に2回目の投票を行う。
最初の投票の最多得票の2人の候補者のみが、2回目の投票に参加することができる。
投票総数の過半数を獲得した候補者が、2回目の投票で当選したと宣言される。
第68条 選挙人団は、大臣会議における政令によって招集される。
第69条 最初の投票は、現職大統領の任期の満了日前30日以上40日以内に行うものとする。
第70条 候補者の1人が最初の投票前に死亡し、又はこれに確定的な障害が生じた場合、憲法裁判所は選挙の延期を宣言する。
2回目の投票に残った候補者の1人が死亡し、又はこれに確定的な障害が生じた場合、憲法裁判所は選挙のやり直しを宣言する。
上記の第1項及び第2項の場合、憲法裁判所は、共和国大統領、議会議院の議長又は利害関係人から付託を受けたときは、第69条に規定する期間を延長することができる。投票は、憲法裁判所の決定日から起算して90日以内に行わなければならない。本項の規定の適用により、現職大統領の任期満了日よりも後に大統領選挙が延期された場合、選出された後任者が就任するまで引き続き在任するものとする。
2回目の投票に参加できる2人の候補者のうち1人が辞退した場合、選挙は残りの候補者と共に続行するものとする。
第71条 法律により、被選挙権、立候補の届出、投票の実施、開票及び共和国大統領の選挙結果の公示に関する条件及び手続きについて定めるものとする。
また、自由、透明、公正かつ正常な選挙のために必要な条件について定めるものとする。
第72条 共和国大統領の暫定的な選挙結果の公示から5日以内に異議申立てが提起されることなく、憲法裁判所が独自の判断で、投票が無効となるような不正選挙でないと認めた場合、付託から15日以内に選挙の最終結果を公示する。
異議申立てが提起された場合、憲法裁判所は、付託から起算して15日以内に判決を下し、最終結果を宣言するものとする。
第73条 憲法裁判所が選挙を無効とした場合、憲法裁判所の判決が現職の共和国大統領に通知されてから45日以上90日以内の期間に、新たな選挙を実施する。この場合、現職の共和国大統領は、新たに選出された共和国大統領が就任宣誓するまで引き続き在任するものとする。
第74条 就任前に選出された共和国大統領が死亡し、又はこれに確定的な障害が生じた場合、選出された共和国大統領の死亡又は確定的な障害を認定した憲法裁判所の決定が、現職の共和国大統領に通知されてから45日以上90日以内の期間に新たな選挙を実施するものとする。
現職の共和国大統領は、新たに選出された共和国大統領が就任宣誓するまで引き続き在任するものとする。
第75条 投票総数の10%以上を獲得した共和国大統領選挙の候補者は、選挙運動の費用及び経費の償還を受ける権利を有する。
法律により、選挙運動の費用及び経費の償還の上限を定めるものとする。
第76条 共和国大統領の任期は、宣誓日に開始し、その開始後5年目の満了日に終了する。
選出された共和国大統領の宣誓は、憲法裁判所による選挙の最終結果の公示後20日以内に行うものとする。
第77条 共和国大統領は就任する際に、以下の宣誓を行うものとする。:
・「国家及びコンゴ国民の前において、私:(選出された者の氏名)、共和国大統領は、厳粛に誓います。:
・憲法を遵守及び執行し、国民及び国家の共和政体を擁護します。
・国家及び国民が私に信託する崇高な職務を忠実に遂行します。
・全ての人に平和及び正義を保障します。
・国家の単一性、領域保全並びに国家の主権及び独立を維持します。」
宣誓は、国民議会、元老院及び最高裁判所の出席の下で、憲法裁判所が公開の場で厳粛に執り行うものとする。
第78条 死亡又はその他の確定的な障害によって共和国大統領職に空位が生じた場合、第82条、第83条、第86条、第87条、第88条第2項、第89条、第91条、第92条、第138条、第162条、第217条及び第240条に規定する権限を除く共和国大統領の職務は、元老院議長が暫定的に執行する。元老院議長に障害が生じた場合は国民議会議長が代行し、両者に障害が生じた場合は首相が代行する。
空位は憲法裁判所が認定及び宣言する。
空位が生じてから24時間以内に首相が憲法裁判所に付託しなかった場合、憲法裁判所は、独自の判断でこれを認定及び宣言するものとする。
いずれの場合も、憲法裁判所は、元老院議長又は国民議会議長を指名し、両者に障害が生じた場合、首相を共和国暫定大統領に任命する。
元老院議長、国民議会議長又は暫定大統領に任命された首相は、大統領選挙に立候補することはできない。
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