第79条【暫定大統領の就任、暫定期間】、第80条【兼任及び兼職の禁止】、第81条【在任中の禁止行為】、第82条【給与及び公邸】、第83条【首相及びその他の政府閣僚の任命及び罷免】、第84条【大臣会議の主宰】、第85条【法律の公布、再審議の要求】、第86条【国民投票の発議権】、第87条【法案の国民投票】、第88条【命令及び政令への署名、文官及び武官の上級職の任命】、第89条【外国及び国際機関における大使及び特使の任命、外国からの大使及び特使の信任状の受領】、第90条【軍の最高司令官、国防委員会及び国防安全保障最高機関の主宰】、第91条【裁判官最高会議の主宰】、第92条【恩赦権の行使】、第93条【非常事態における非常措置】、第94条【議会における演説】、第95条【高等法院による裁判、告発の条件及び手続き】、第96条【退任後の責任追及の制限】、第97条【首相及び執行を担当する大臣の副署】
第4編【行政権】
第1章【大統領】
第79条 共和国暫定大統領は就任する際に、第77条に規定する宣誓を行うものとする。暫定期間は90日を超えてはならない。新たな共和国大統領の選挙は、憲法裁判所が正式に認定する不可抗力の場合を除いて、空位が生じた日から45日以上90日以内に実施するものとする。
第80条 共和国大統領職は、その他の公選の役職、文官又は武官の公務員及びその他の職業活動の遂行と両立しない。
共和国大統領職は、政党の幹部職とも両立しない。
第81条 共和国大統領は、在任中、自ら又は仲介者を通して、国又は地方自治体の財産を購入又は賃借することはできない。
国が利害関係を有する行政機関又はその他の機関の公的契約又は入札に参加することはできない。
第82条 共和国大統領は給与を受け取る。その金額は規則によって定める。公邸に居住するものとする。
第83条 共和国大統領は、首相を任命及び罷免する。
首相の推薦に基づき、その他の政府閣僚を任命及び罷免する。
共和国大統領は、政令によって政府閣僚の権限を定めるものとする。
第84条 共和国大統領は、大臣会議を主宰するものとする。
第85条 共和国大統領は、国民議会から政府への送付後15日以内に法律を公布する。
この期間は、議会の両議院が緊急を要すると宣言した場合、5日に短縮される。
共和国大統領は、この期間が満了する前に、議会の議院に対して、法律又はその一部の条項の再審議を要求することができる。この再審議を拒否することはできない。
議会が会期末の場合、この再審議は次の会期中に自動的に行われる。
この再審議の採決は、議会の会議における国民議会及び元老院の議員の3分の2以上の多数決によって行われる。
この最後の投票の後に、共和国大統領が法律の公布を拒否した場合、共和国大統領又は議会の議院議長が付託する憲法裁判所は、法律の適合性を審査する。憲法裁判所がその法律を憲法に適合すると宣言した場合、共和国大統領はこれを公布するものとする。
第86条 共和国大統領のみが国民投票の発議権を有する。
第87条 共和国大統領は、適合性に関して憲法裁判所と協議した上で、必要と認める法案を国民投票に付すことができる。
適合しないとの意見が表明された場合、国民投票に付すことはできない。
国民投票の結果、法案が採択された場合、法律は、その結果の公示後15日以内に公布するものとする。
第88条 共和国大統領は、大臣会議において決議した命令及び政令に署名する。
大臣会議において文官及び武官の上級職を任命する。
法律により、大臣会議における政令によって任命する文官及び武官の職務を定めるものとする。
第89条 共和国大統領は、外国及び国際機関における大使及び特使を任命する。
外国からの大使及び特使の信任状を受領する。
第90条 共和国大統領は軍の最高司令官である。国防委員会並びに国防及び安全保障に関する戦略的な指導、監督及び意思決定を行う最高機関を主宰する。
第91条 共和国大統領は裁判官最高会議を主宰する。
第92条 共和国大統領は恩赦権を行使する。
第93条 共和国の機関、国家の独立、領域保全又は国際的な約束の履行が重大かつ急迫の脅威にさらされ、公権力の正常な運営が中断された場合、共和国大統領は、首相及び両議院議長と協議した上で、その状況が必要とする措置を講じるものとする。
国民に対して、メッセージによって通知するものとする。
議会は、当然臨時会を開催する。
議会は期間を定め、この期間経過後は、共和国大統領は非常措置を講じることができない。
第94条 共和国大統領は、年に1度、議会において開催される会議において、国家の状況に関する演説を行うものとする。
いつでも議会の議院において演説を行うことができる。
この演説はいかなる審議の対象ともならない。
第95条 高等法院は、共和国大統領を裁判することができる。
共和国大統領は、その高度な職務の執行と明らかに矛盾する重大な義務違反があった場合、刑事責任を負うものとする。
この場合、共和国大統領は、議会の議員の4分の3以上の多数決によって告発される。
組織法により、共和国大統領の告発の条件及び手続きについて定めるものとする。
第96条 共和国大統領は退任後に、その職務の執行中に行った犯罪若しくは軽罪に該当する行為又は重大な義務違反について、訴追されることはない。
上記の規定に違反した場合、法律に従い、汚職の罪又は国家反逆罪を構成する。
第97条 第82条、第87条及び第93条に規定する以外の共和国大統領の行為は、首相及びその執行を担当する大臣が副署する。
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