『おっさん陰陽師の友人は元SKE48(2)【梅田桃子編】』第7章
『氷河期世代のおっさんだけど、陰陽師の力で妖怪事件を解決したら、芸能人(元SKE48)の友人ができた件(2)【梅田桃子編】』
第7章 故郷
私はモモちゃんと、あの夜のように豊橋駅まで歩いていった。「モモちゃんは、山形にたまには帰るんですか?」
「ほとんど帰ることはありません。テレビやラジオのお仕事があれば行くくらいです。家族皆で名古屋に引っ越すときに、山形の実家は処分してしまいました。もともと、私たちの家は分家だったので、後腐れなく新天地で新しい生活を始めることができたんです。」
「後腐れなく・・・そうですか。もう帰る家がなければ、そうなりますよね。」
「・・・私の帰る家は名古屋の新しい家です。これからも時々、こうして豊橋に遊ぶに来ますね。」
「ありがとうございます。雪雄叔父さんも、とても喜ぶと思います。朋有り、遠方より来たる、また楽しからずや。私もあなたのような友人を得て、本当に嬉しいです。」
「晴彦君、ありがとう。それじゃ、またね!」
私は、モモちゃんが駅の改札口を通り、階段でホームに降りていくまで見送った。
そして、学生時代の東北の友人を思い出し、しばらくの間、なつかしい感傷に浸っていた。
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