『おっさん陰陽師の友人は元SKE48(2)【梅田桃子編】』第3章
『氷河期世代のおっさんだけど、陰陽師の力で妖怪事件を解決したら、芸能人(元SKE48)の友人ができた件(2)【梅田桃子編】』
第3章 夜の襲撃者
竹井さんがなぜ私にモモちゃんを紹介してくれたのか、最初はその理由がよく分からなかった。竹井さんが酒の席で、かわいい後輩の頼みだからと漏らしたことがあるので、どうやらモモちゃんが私の陰陽師としての力に興味を持ち、私を紹介してくれと竹井さんに頼んだらしい。
モモちゃんは、私と雪雄叔父さん、それに時々竹井さんも加わる、豊橋の居酒屋での晩酌会に数週間参加していた。
モモちゃんはお嬢様のくせに、酔っ払いじいさんである雪雄叔父さんと馬が合うらしく、いつも楽しそうに話していた。
そんなある夜のこと、私はいつものように雪雄叔父さんとモモちゃんの3人で、いつもの居酒屋で酒を飲んでいた。
この夜に限ってモモちゃんは、私に駅まで送ってほしいと言うのである。
豊橋駅前近辺の居酒屋なので、いつものように一人で歩いて駅まで行けばよいのにと不思議に思ったけれど、仮にも自称お嬢様の願いを断ることなどできようか。
というわけで、その夜の晩酌会はお開きとなり、私はモモちゃんと二人で豊橋駅まで歩いていった。
すると突然、モモちゃんは立ち止まり、近くにある街路樹の方をじっと見つめている。
「どうしたんです、気持ち悪いんですか?どこか・・・トイレを借りられるところに寄っていきますか?」
私がそう言ってもモモちゃんは無言で、相変わらず街路樹の方をじっと見つめている。
うかつにも私は、酒が入っていたせいなのか、すっかり油断していたからなのか、アレに気付くのがモモちゃんよりも遅れてしまった。
しかし、私はアレに気付いた瞬間、この依頼人の依頼内容を理解したのだった。
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