『幽玄鉄道の夜(5)【のんほいパークの人食い恐竜】』第1章
国民的な人気女優・吉中ユリコが、幽玄鉄道の旅人・草野崇とのんほいパークで人食い恐竜を目撃するの巻
第1章 吉中ユリコ
幽玄鉄道はどこまでも続く無限の鉄道。列車の車窓から見える景色は、月明かりに照らされて、いつまでも、どこまでも、美しく幻想的である。
草野崇がいる車両はそれなりに乗客がいた。
駅に停車するたびに、降りる乗客もいれば、乗り込んでくる乗客もいる。
草野は車窓から景色を眺めながら、ぼんやりとしていた。
ふと気付くと、向かいの座席に女性が座っていた。
草野は驚いた。彼女は、あの国民的な人気女優・吉中ユリコだった。
草野は思わずつぶやいてしまった。
「吉中ユリコだ・・・」
ユリコは一瞬、緊張した面持ちになった。
草野は無礼を謝罪した。
「すいません。ぼーっとしていたので、思わずつぶやいてしまいました。」
ユリコは微笑んで言った。
「いえ、大丈夫ですよ。気にしないでください。」
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