『東三河今昔【創作】物語集(33)【平足ユリナ編】』第1章
美しい女性に化けたヒヨドリの妖怪に襲われた男が、通りがかりの霊能探偵に救出されるの巻
第1章 冬のヒヨドリ
今は昔、日本経済が低迷し、若者が就職できない時代があった。この就職氷河期に高校や大学を卒業した人々は、経済的に苦労することとなった。
東三河出身で、今は豊橋の街で暮らしている鳥嶋も、就職氷河期で苦労した人間の一人である。
彼は若い頃にいろいろな街でいろいろな仕事を経験してきたが、今も独身である。
そして、10年前に東三河に帰ってきて以来、質素倹約の純朴な生活を送っている。
真冬の寒さが身にしみるある日のこと、鳥嶋は冬枯れの庭木の枝に、半分に切ったミカンを刺した。
最近、冬でエサ探しに苦労しているヒヨドリの痛切な鳴き声に、彼は心を動かされたのである。
しばらくすると、ヒヨドリたちが代わる代わるやって来て、ミカンをおいしそうに食べていった。
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