人間の使命。
1 他人の価値観
幸せになるためには、他人の価値観に沿って生きるのではなく、自分自身の価値観を見出してそれによって生きることが大切だとはよく言われることである。・アドラー心理学。:https://tanakah17191928.blogspot.com/2019/06/blog-post_21.html
一般的に人が人生で一番影響を受けるのは、親の価値観だろう。
遺伝子や生活習慣、文化資本を受け継いで、その価値観までもコピーしてしまう。
・重力に魂を縛られている人々。:https://tanakah17191928.blogspot.com/2019/02/blog-post_21.html
親から子への価値観の承継を進化論的に考察すると、社会科学的に分析することができるおもしろいテーマになるかもしれない。
2 勉強やスポーツ
親は、子どもが勉強やスポーツを習得することを喜ぶ。特に、勉強ができるようになってほしいと望む。
よく考えると勉強でもスポーツでも、それだけで飯が食えるプロになれるのは、ほんの一握りの人間だけである。
野球少年みんなが甲子園に行ける訳ではないし、プロ野球選手になれる訳ではないし、メジャーリーガーになれる訳ではない。
オリンピックに出たりプロとして生きられるスポーツ選手は、ごく一部の天才である。
実は、勉強だってそうである。
全国の秀才みんなが難関大学に入れる訳ではない。
大学で一生懸命勉強しても、全員が科学者、研究者になれる訳ではなく、ノーベル賞などの有名な賞を取るほどに活躍し脚光を浴びるのは、ごく一部の天才である。
ほとんどの人間は、大学や大学院で挫折を経験して、企業に就職したり公務員を受験したりする。
勉強や学問にかかわる仕事にこだわって、学校や塾等、教育機関の教師や講師になったりする人もいる。
ほとんどの人間は、学校卒業後は普通に就職するものだと最初から達観している。
3 就職
一般的に20代までは、勉強していれば大人から褒められる。逆に、放課後にアルバイトをする高校生に対して、勉強をしないで大丈夫かと余計な心配をする大人さえいる。
一般的に日本では、これが大学卒業、すなわち20代前半頃に逆転するのであるから、よく考えると不思議である。
要するに、勉強していい大学に入って、大きな企業に就職したり公務員になれば安心だと考えて、勉強してきたのだろう。
それを越えて勉強ばかりしていると、いつまでそんなことをしているんだと子を非難する親さえいる。
そんな役に立たない勉強よりも、働いてお金を稼げと言いたいのだろう。
4 学ぶことの意味
だから、勉強もスポーツも適当にやればいいと言いたい訳では決してない。勉強もスポーツもできるなら真剣にやった方がいい。
ただ、おそらく日本社会の弱点だと思うのだけれど、学校教育から就職就労への橋渡し機能が、社会的制度として少し弱いのかもしれない。
そんなことを考えていたら、MASTERキートンの言葉を思い出した。
とても素敵な言葉だけれど、社会人学校の生徒たちに対してだからこそ、言える言葉かもしれない。
数年後の就職活動を不安に思いながら勉強している学生には、ただのきれい事にしか聞こえないかもしれない。
「人間は一生、学び続けるべきです。人間には好奇心、知る喜びがある。肩書きや、出世して大臣になるために、学ぶのではないのです・・・・・・では、なぜ学び続けるのでしょう?・・・・・・・・・・・・それが人間の使命だからです。」(『MASTERキートン』、平賀=キートン・太一)
ちなみに、「屋根の下の巴里」でのセリフです。
「使命」って・・・もはや理屈ではないようだ。
・井上靖『敦煌』の魅力。:https://tanakah17191928.blogspot.com/2019/04/blog-post.html
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