第163条【政府役職者の刑事裁判】、第164条【政府役職者による職務犯罪】、第165条【政府役職者による憲法違反】、第166条【政府役職者の弾劾手続】、第167条【政府役職者が有罪の場合】、第168条【憲法院の命令】、第169条【組織及び運営を定める法律】
第3編【統治機構】
第1章【共和国の機関】
第4節【司法権】
第5款【憲法院】
第163条 憲法院は、憲法の定める場合及び条件において、国家元首及び首相の刑事裁判権を有する。第164条 憲法院は、共和国大統領及び首相の刑事裁判所であり、国家反逆罪、議会侮辱罪、名誉又は信義に反する罪、インサイダー取引、及びその職務の執行中又はこれに関連して行った通常の法律上のその他の犯罪などの政治犯罪を裁判する。また、その共同正犯及び共犯を裁判する権限を有する。
第165条 この憲法のその他の規定を損なうことなく、国家反逆罪は、共和国大統領が故意に憲法に違反した場合、又は大統領若しくは首相が重大かつ明白な人権侵害若しくは国家の領域の一部の割譲の実行者、共同実行者若しくは共犯者であると判明した場合に成立する。
名誉又は信義に反する罪は、特に共和国大統領又は首相の個人的な行為が善良の風俗に反する場合、又は横領、汚職若しくは不正蓄財の実行者、共同実行者若しくは共犯者であると判明した場合に成立する。
インサイダー取引は、共和国大統領又は首相が、特権的な情報を有する不動産又は商品について取引を行い、その情報が一般に知られる前に利益を得た場合に成立する。インサイダー取引には、株主に開示されることのない情報に基づいて株式を売買する場合も含まれる。
議会侮辱罪は、首相が議会の議院からの政府の活動に関する質問に対して、30日以内に回答しなかった場合に成立する。
第166条 共和国大統領及び首相の訴追の決定及び弾劾は、内部規則に定める手続きに従い、議会議員の3分の2以上の賛成によって議決される。
政府の閣僚の訴追の決定及び弾劾は、内部規則に定める手続きに従い、国民議会の議員の絶対多数決によって議決される。
弾劾された政府の閣僚は辞表を提出するものとする。
第167条 有罪判決の場合、共和国大統領及び首相は失職する。失職は憲法院が宣告する。
職務外の犯罪の場合、共和国大統領及び首相に対する訴訟手続は、その任期が満了するまで停止される。この間、時効は中断する。
第168条 憲法院の判決は上訴の対象とならず、直ちに執行することができる。拘束力を有し、公権力、全ての行政当局、司法当局、文民当局及び軍事当局並びに私人に適用される。
憲法に適合しないと宣言された行為は、当然無効である。
第169条 憲法院の組織及び運営は、組織法によって定めるものとする。
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